BUYERS' RECOMMEND|Vol.41
2024.05.29

ファッション業界の最前線で活躍する全国のセレクトショップバイヤーの目利きで選び抜かれたアイテムを、そのバイヤーのリアルなコメントと共に紹介する連載企画「バイヤーズ レコメンド」。Vol.41は2020年4月にオープンした大阪のセレクトショップ MusterWerk から、代表の新宅さんが手仕事感溢れる別注ウェアがお目見え。

Text Takaaki Miyake

MusterWerk

NICENESS Ex.COLTRANE MusterWerk

店名の MusterWerk はドイツ語で「名作」や「傑作」を意味し、その店名を裏付けるように、バイヤー自身の経験に基づいた銘品を集め続けるのがこのセレクトショップの哲学だ。今回はそのコンセプトを投影したかのようなエクスクルーシブな一着。

「レコメンドしたいのは NICENESS との24年春夏シーズンの別注アイテムです。まだお店を始める以前から、僕自身が擦り切れる程に着ているお気に入りのベストを復刻しました。ただしそのまま復刻したのではなく、今シーズン象徴的だったツイステッドシルク素材と“MADE BY HAND"なインドの手仕事とかけ合わせて、リリース当時の特徴的なディテールを表現しています。

昔からベストが好きなのですが、ここ最近はさらにそれが加速しているんです。日本の気候も暑さと寒さがはっきりとしてきて、春や秋を楽しむことができる期間がめっきり減ってしまった中で、袖のないベストだと長く快適に羽織ることができるので非常に頼もしいわけです。

長らくネイビーばかりを手に取ってきた中、最近気になるのがオリーブカラー。そして一見すると粗野なこの素材ですが、実はシルク100%なので軽くて柔らかく、実際に触れると動きの良い真逆の印象を与えてくれます。ツイステッドシルクと名付けられたこの素材はタテ糸とヨコ糸、それぞれ2色の糸を手で極限まで撚り上げた"ねじねじシルク糸"を機械で織り上げたもの。不揃いに複雑に混じり合うランダムな色味と表情が特徴的です。暑い夏でも快適に着られるようにと、軽く仕上げるために一般的な芯材や芯地は使わず、インドらしいシャツ生地を間に挟みこむことで、素材本来のドレープ性を生かしながら補強しています。

さらに花柄をわざとはみ出るように計算されたパイピング風の見え方と要所での断ち切りからは、愛らしい“ヘタウマ感”とクラフト感の両方が感じられ、チラッと覗く花柄は日本固有種とインド固有種の花を掛け合わせたパターンです。インド伝統の手彫りのブロックと天然植物染料でのブロックプリントで染められたもので、細部のデザインまで全てに意義がある、抜かりのない素晴らしい仕上がりとなっています」

素材選びから縫製まで、一点一点に対するこだわりを強く感じさせる NICENESS のプロダクト。そんな中でも今回は2019年秋冬シーズンに登場した、セミロングの丈感もほど良いベストが MusterWerk によって復刻。手で捻ったというシルク糸を使った生地や、さりげなく見える花柄など、計算されつくした美学が随所に散りばめられている。広めのアームホールのため、下に着るアイテムを選ばず、秋冬はアウターとレイヤードできるユーティリティ性の高さにも魅力を感じる。

NICENESS
Ex.COLTRANE ¥69,300

MusterWerk 
https://musterwerk-osaka.com/
https://www.instagram.com/musterwerk.osaka/

MusterWerk 

新宅勇也
MusterWerk 代表

1991年生まれ。MusterWerk と MusterWerk Sud. の2店舗を経営。セレクトショップとしての全ての仕事を1人で行うことを信条に進化させながら、長く続くお店にすることが目標(30年が目標)。2店舗目の Sud. では、力のある若手に経営指南を行い独立を支援。同じ志を持つお店を増やし、全国に洋服好きを増殖させることで、ファッション業界の底上げを行うことが夢。